On The Boards （オン・ザ・ボード）
1970- CD -
(polydor: 840599-2, 1994) (Universal: UICY-93973, 2009 紙ジャケ 解説：大鷹俊一)|
01 What's Going On 02 Railway And Gun 03 It's Happened Before,It's Happen Again 04 If The Day Was Any Longer 05 Morning Sun 06 Eat My Words 07 On The Boards 08 If I Don't Sing I'll Cry 09 See Here 10 I'll Remember |
（2`44） （3`33） （6`32） （3`07） （2`38） （3`45） （6`01） （2`38） （3`04） （3`01） |
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Rory Gallagher: Guitar, Vocals, Harmonica, Alto-Sax
Richard McCracken: Bass Guitar
John Wilson: Drums
Produced by Tony Colton
1970年リリースのセカンド・アルバム。
前作から一転して、このアルバムではジャズ・フィーリングを導入してクールな演奏でまとめている。特にアルト・サックスをフューチャーした03や07などが突出している。ファンは皆この変化に驚きつつも歓迎したようで、このアルバムはテイスト人気の上昇と共に良く売れたらしい。
メンバー、特にドラムのジョン・ウィルソンはこのジャズっぽい曲調が大変気に入り、バンドをそういう方向に持っていこうとした。ところが、全部の曲を作ったロリー自身はこのアルバムのレコーディング終了時点で、ジャズっぽい洗練された曲よりももっと泥臭いブルースのようなものをやりたいと思うようになり、両者のあいだで意見の対立が起こる。結果的にその音楽的な意見の不一致に加え、マネージメントがらみの感情のもつれもあり、この年の秋、人気絶頂の中でテイストは解散劇を迎えることになる。
◆ What's Going On ホワッツ・ゴーイング・オン
いかにもロリーっぽいリフで始まるロック調の曲。ミドルテンポの重いリズムとハードなギター。メロディもなかなか、なんだけどもう1つ展開が欲しいかな。間奏のギターが良い。◆ Railway And Gun レイルウェイ・アンド・ガン
「I'm Moving On」を思わせるような軽めの曲だが、途中でリズムが変わってスロー・ブギーになる。テイストはこういうようなテンポやリズムが途中で変わる曲が案外多いがエンディングに困ってここでもフェイド・アウト処理。◆ It's Happened Before, It's Happen Again ハプンド・ビフォアー・ハプン・アゲイン
ジャズっぽい曲。メロディはマイナー調だが速いテンポの軽快な演奏。やや突っ込み気味のギターソロに激しく動くベースのメロディが絡み合った間奏が聴きモノ。歌の部分はとても少ない。ドラムも完全にジャズ風で、後半にロリーのサックスが聴ける。◆ If The Day Was Any Longer イフ・ザ・デイ・ウォズ・エニィ・ロンガー
優しい雰囲気のフォーキーな曲。歌としてはこの曲が一番好き。間奏のロリーのハーモニカがとても良い。◆ Morning Sun 朝の太陽
ミドル・テンポのやや重い感じのリフで始まり、途中で転調もする構成が面白い曲。クイーンのブライアン・メイはテイストの大ファンで、この曲のリフを自身の「タイ・ユア・マザー・ダウン」という曲に流用した、と後に告白している。◆ Eat My Words イート・マイ・ワーズ
スライドギターが効いた曲。ソロになってからの最初の頃の曲調はこのあたりから続いているのかなという感じ。ソロの1stに入っていてもおかしくないような曲。「Sinner Boy」あたりの雰囲気に似ている。◆ On The Boards オン・ザ・ボード
落ち着いた感じのややスローなナンバーで1stの頃の感情剥き出しの勢いを抑えたクールな演奏。いくらかジャズっぽいフレーズのギターソロ。ドラムのフレーズも独特でおもしろい。ロリーのサックスも聴ける。◆ If I Don't Sing I'll Cry イフ・アイ・ドント・シング・アイル・クライ
跳ねるリズムのブキーだが、サビのところでロリーが裏声で歌ったりする面白い曲。ヨレた感じのハーモニカとギターとのユニゾンによる間奏も良い。◆ See Here シー・ヒア
アコースティック・ギターによる弾き語り。ややトラッドな感じの曲で静かに語りかけるように歌う。ギターはすこしクラシック・ギターの奏法を意識しているようだ。◆ I'll Remember アイル・リメンバー
最後は勢いの良いハード・ロック。イントロでギターとベースとドラムがユニゾンで攻めてくる。途中で転調したりもする、テイストらしい曲。サビの部分は案外軽快。- LP -
ポリドール・レコード MP2327 解説：石野真知子On The Boards （オン・ザ・ボード）
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| side A | side B |
| 1 ホワッツ・ゴーイング・オン | 1 イート・マイ・ワーズ |
| What's Going On （2:46） | Eat My Words （3:44） |
| 2 レイルウェイ・アンド・ガン | 2 オン・ザ・ボード |
| Railway And Gun （3:36） | On The Boards （6:00） |
| 3 ハプンド・ビフォアー・ハプン・アゲイン | 3 イフ・アイ・ドント・シング・アイル・クライ |
| It's Happened Before, Happen Again （6:31） | If I Don't Sing I'll Cry （2:37） |
| 4 イフ・ザ・デイ・ウォズ・エニイ・ロンガー | 4 シー・ヒア |
| If The Day Was Any Longer （2:08） | See Here （3:03） |
| 5 朝の太陽 | 5 アイル・リメンバー |
| Morning Sun （2:37） | I'll Remember （3:00） |
●インタビュー記事より●
▼ テイストの2枚目のアルバム「On The Boards」は、多少ジャズっぽいように思えるのですが・・・・。
あの頃は、ほとんどのミュージシャンがジャズに対する憧れを持っていたようです。そして、当時の音楽を聞いてみるとわかるように、明らかにそれが表面に表れているんです。今でもジャズ・ファンである事に変りはありませんが、あの頃に比べたらそれほどでもないと言えるでしょうね。僕がサキソフォンに興味を持ち出したのもあの頃です。「On The Boards」のアルバムの後で、僕の興味は以前よりもずっとブルース中心になっていったようです。ちょうど各人各様に好きな音楽の移り変わりがあるようにね。
（「MUSIC LIFE」1974年3月号 インタビュー by 吉成伸幸 より）