"The London Muddy Waters Sessions"
1972 （MCA Records 1989）|
01 Blind Man Blues （3:30）(Lafayette Leake) 02 Key To The Highway （2:24）(McKinley Morganfield) 03 Young Fashioned Ways （4:22）(Willi Dixon) 04 I'm Gonna Move To The Outskirts Of Town （3:54）(William Weidon) 05 Who's Gonna Be Your Sweet Man When I'm Gone （5:03） (McKinley Morganfield) 06 Walkin' Blues （3:00）(Willie Dixon) 07 I'm Ready （4:08）(Willie Dixon) 08 Sad Sad Day （5:15）(Mckinley Morganfield) 09 I Don't Know Why （4:00）(Willie Dixon) |
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Muddy Waters ： Vocals and Slide Guitar
Sam Lawhorn ： Guitar
Rory Gallagher ： Guitar
Carey Bell Harrington ： Harmonica
Rick Grech ： Bass
Steve Winwood ： Piano or Organ
（"Key To The Highway", "I'm Gonna Move To The Outskurts Of Town" and "Sad Sad Day" only）
Georgie Fortune（George Fame） ： Piano or Organ
Mitch Mitchell ： Drums
Herbie Lovelle ： Drums
（"Blind Man Blues", "I'm Ready" and "I Don't Know Why" only）
Rosetta Hightower ： Vocal（"Walkin' Blues"）
Ernie Royal ： Trumpet
Joe Newman ： Trumpet
Garnett Brown ： Trombone
Seldon Powel ： Tenor Saxophone
マディー・ウォーターズが米国で白人ブルースマンのポール・バターフィールドらとレコーディングした「Fathers and Sons」が大当たりしたのをきっかけに、ブルース・レーベルのチェス・レコードが今度は英国人ブルースマンと本場のブルースマンとのセッションアルバム・シリーズを企画する。
まずはハウリン・ウルフ（Howlin' Wolf）とローリング・ストーンズのリズムセクション、エリック・クラプトンや スティーヴ・ウィンウッドらを配した「London Session」アルバムをリリース。これまたヒットする。そこで再度マディ・ウォーターズを起用しレコーディングされたのがこのアルバム。ロリーはマディから直々のご指名での参加と伝えられるが、これはロリーを可愛がってくれていたアレクシス・コーナーの推薦があったからなのだそうだ。内容はまずまずであったが、なにしろ参加メンバーがウルフのときに比べて地味なのと、マディ・ウォーターズのセッションとしては2枚目であったことなどから、レコード会社の思惑ほどは売れなかったようである。
このレコーディング・セッションが行われたのは71年の12月なのだが、その前月に2枚目のアルバム「Deuce」をリリースしたばかりのロリーは全英ツアーの真っ最中だった。それでも自分のライブが終るとこのセッションに参加するために車を飛ばしてロンドンまで戻っていたそうである。セッションは夜8時ごろから始まっていたようだが、ロリーが会場に着くのはいつでも夜中の1時近くなっていた。しかし、マディはロリーが到着するまで録音を始めなかったらしい。それでも充分にロリーはセッションに溶け込み、要所要所で素晴らしいプレイをしている。
ハウリン・ウルフのセッションではクラプトンが殆どのリードギターを気持ち良さそうに弾いているが、ここではマディの他にもう一人サム・ローホンという本場のギタリストが参加しているため、ロリーのソロパートはそれほど多くはない。ロリーのファンとしてはなんとも歯がゆい感じがするのだけれど、ロリー本人はこの「半分英国人、半分米国人」という構成でのセッションがとても「勉強になった」と後のインタビュー等で語っている。英国人ばかりの中でのセッションではなく、本場のミュージシャンと一緒に演奏できたことがなりよりも嬉しかったそうだ。また、このセッションを通じて自らのスライド・ギターにも自信を持ったようだと、ロリー・バンドのベーシストであるジェリー・マッカヴォイも語っている。
演奏面での収穫も大きかったようだが、なによりもマディ・ウォーターズという人間の人柄にすっかり感銘を受けたようで、このセッションのことについてインタビュー等で聞かれると、いつでも嬉しそうな受け答えをしている。「年取ってから孫に自慢できるよね。僕に孫が出来たらの話だけど（笑）。」などと．．。また、セッションの後、宿泊先のホテルまでロリーが乗り付けた車（フォード）でマディを送っていたそうで、その車は後々まで「マディが乗った車だから」という理由で大事にしていたそうである。
さて、ギタリストが3人いるので聞き分けが難しいかなと思うと、そうでもない。独特のスライド・ギターはマディ・ウォーターズの演奏。サム・ローホンのギターは丸みのあるポコポコした音。ロリーのギターはそれに比べてうんとエッジが効いた鋭い音。ソロパートが2つある場合、大概最初はローホンが、後のをロリーが担当している。3曲目の「Young Fashioned Ways」あたりが解り易い。6曲目の「Walkin' Blues」だけはどうもマディ・ウォーターズとサム・ローホンの2人だけでの演奏のようだ。5曲目の「Who's Gonna Be 〜」はロリーの「Irish Tour」に収録されている「I Wonder Who」と同じ曲。