Band
The Fontana Showband フォンタナ・ショーバンド （1964）
9歳でアコースティック・ギターを弾くようになったロリーは、弟のドネルや学校の同級生らとスキッフル・グループを結成して学校や教会などのイベントで演奏するようになり、タレント・コンテストに優勝するなど、人前での演奏に夢中になっていた。ラジオの影響でロックン・ロールを好むようになり13歳でエレクトリック・ギターを手にするが、思うようにバンド仲間が集まらず、またアンプを使用して演奏できるる場所もほとんどなく、ついには新聞で見た「ショーバンドでギタリスト募集」の求人広告に応募する形でショーバンドの一員となった。
それがこの、「ロリーの最初のバンド」と言われるフォンタナ・ショーバンドである。
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・Bernie (Bernard) Tobin : Leader, Trombone, Saxophone ・Rory Gallagher : Lead Guitar ・John Lehan : Saxophone ・Eamon O'Sullivan : Drums ・Declan O'Keeffe : Rhythm Guitar ・Oliver Tobin : Bass Guitar |
- What's a showband? -
TP: では始めましょう。まず、あなたの最初のバンドはフォンタナ・ショーバンドですよね。ずばりショーバンドって何ですか？
RG: アイルランドのダンス・バンドだよ。60年代の初めにダンス・バンドがよりショーアップして、座って演奏せず立って演奏したり、リーディング・ミュージックを始めたりしたんだ。ショーもやろうとしてたんだろうね。ごくわずかだけど実際にショーをやったところもあるよ。演奏する音楽はロックン・ロールにカントリー＆ウエスタンみたいなのや、アイリッシュ・ミュージックなんかや、あとコメディとか．．． 。それがショーバンドさ。大きなダンス・ホールで演奏するんだ。平均的なアイルランドのダンス・ホールは2000人くらい収容できるんだよ。
TP: アイルランドのミュージシャンっていうのはショーバンドから始めるものなんですか？
RG: 最近ではそうでもないだろうね、今は自分達でバンドを組む事が出来るから。60年代の最初の頃は若い連中は．．．僕はバンドを組めなかったんだ。確かに放課後に演奏するようなバンドはあったけど、ベース・プレイヤーがいなかったり他の何かが足りなかったり、それで結局ショーバンドに参加する事にして2年間演奏したよ。それが安定した仕事を得る方法でもあったし、まだ学校に通っていたんだけどね、ギターやアンプを手に入れる方法でもあった。僕はそこでロードの生活や演奏について沢山の事を学んだよ。まだ15歳かそこらだったけど、良かったよ。イギリスにツアーに出たりもしたんだ。
TP: Let's start at the begining. Your first band was the Fontana Showband. What exactly is a showband?
RG: It's an Irish dance band. During the early sixties, the dance bands became mare showy the musicians stood up instead of sitting down, began reading music; they were supposed to put on a show as well. Very few of them actually did put on a show. The music you'd play would be rock and roll, a bit of country and western, a bit of Irish music, a little comedy --- that was a showband. You played in large dance halls the average dance hall in Ireland holds 2000 people.
TP: Did most Irish musicians get their start showbands?
RG: Not so much nowadays because it's feasible to put together group now. In the early sixties, a young guy couldn't -- I couldn't form a group I had groups after school all right, but I couldn't get a bass player, or somthing else, so eventually I just joined the Showband, and played with them two years. It was a way of constant work, even though I was still in school, a way of getting a guitar and an amplifier. I learned a lot about being on the road, and playing. I was only about fifteen, but it was great - I got to tour in England.
（「The Story on Rory」 by Dave Schulps and Robbins / "Trans-Oceanic Trouser Press" April - May 1976 issue ）
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フォンタナ・ショーバンドでの演奏風景。 ロリーは既にサンバーストのストラトを使用。まだ塗装が剥げていない。 ボーカルはロリーだけでなくほかのメンバーも取っていたようだ。 左でバンドの写真を手に柵に腰掛けている青年は、後にロリーのローディとなり、現在もストレンジ・ミュージックでドネルの片腕として働いているトム・オドリスコール氏（ライヴ映像に時々映るヒゲのオジサン）。彼はショーバンド時代から熱烈なロリー・ファンだったそうだ。 |
ショーバンドは主にその当時のヒット曲（トップ10）のカバー演奏が中心のバンドなのだそうで、ロリーのいたフォンタナもやはりそのような曲を中心に演奏していた。ロリーのインタビューにもあるように、ダンス・ホールのひな壇での演奏で、集まったお客さんは演奏を聴きに来るというよりも踊りに来るのが目的だったようだが、そんな中にもいくつか人気のバンドはあったそうだ。フォンタナはそのような人気バンドやイギリスから来るバンド（アニマルズやサーチャーズ等）のサポート（relief）として様々な土地に演奏に行ったり、コークのアルカディアというダンス・ホールにレギュラー出演するなど、リハーサルも含めるとほとんど毎晩のように演奏活動をしていた。
当時のバンドの生活について、フォンタナのサイド・ギタリストであったデクラン・オキーフィ（Declan O'Keffe）は次のように語っている。
僕らはあちこち手広くカバーしてたんだ。よく、コークを1時に出発してウェストポートまで車飛ばして、10時から2時まで演奏してそれでまた車で戻ってきたりしたよ。確か朝の7時半にコークに着いたと思う。僕はそれから8時までイーガン・ジュエラーズ（Eagan's Jewellers / コークの老舗宝石店）で仕事してたよ。クレイジーだったね。
"We covered a lot of road. We often left Cork at one o'clock, drove to Westport, played from ten until two and drove back. I remember arriving into Cork at half-seven in the morning. I'd still be at work in Egan's Jewellers by eight. It was crazy."
（「Send'em Home Sweatin'」 by Vincent Power p.373）
この忙しい生活は当時まだ16歳の学生だったロリーにとっても例外ではなかった。ホールでの演奏は夜の仕事で、一日4-5時間の演奏を週に4日はこなすという日々で、学校の勉強をする時間を取るのが難しかったというが、どうにか卒業している。
「あのくらいの年齢の時は、寝なくてもなんとかなるもんさ」
- music -
当時、アイルランド音楽協会（The Irish Federation of Music / IFM）がショーバンドの演奏曲基準やバンドのレギュレーションなどを決めて管理しており、フォンタナもそれに従っていた。他のショーバンドと同様に、その当時のトップ・テン・チャートに入るようなヒット曲をコピーして演奏するのが主で、たとえ好きではない曲であっても演奏しなければならなかった（ロリーはよくジム・リーヴスの名を挙げて説明しているが、よっぽどイヤだったらしい．．）。
最初は言われた通りの曲をコピーして演奏していたが、やがてロリーの希望もあり、チャック・ベリーやファッツ・ドミノのようなロックン・ロールも演奏するようになっていった。（ショーの間に30分くらいの「ロックン・ロール・タイム」を設けていたそうだ）。
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フォンタナは他のショーバンドがシャドウズのような（ギターを左右に振りながらステップを踏むような）アクションをつけるのとは少し違って、もっと激しくジャンプしたり踊りまわったりしながら演奏していた。もちろんロリーも同様で、この頃からどうも例のチャック・ベリーのダック・ウォークをやっていたらしい。
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バンドは次第にR&Bを志向していくようになり、やがてユニフォームもショーバンドらしいジャケットにネクタイ姿から、ポロシャツ風のシャツにビートルズ・ジャケットという具合に変わっていく。そして、バンド名もよりビート・バンドらしい「The Impact」に変えることになる。
（続きは → The Impact （工事中！））
注）「フォンタナ」という名はショーバンドにありがちなバンド名だったそうで、ロリーのいたフォンタナは「コークのフォンタナ・ショーバンド」というように呼ばれていた。もっと有名な「フォンタナ・ショーバンド」が他にあったそうだ。